コメディカル組織運営研究会
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以前、コラムNo47「働き方改革をリハ専門職の現場で考える」で働き方改革について述べましたが、長時間労働の是正対策として平成31年4月1日以降は基準日から1年間で5日間の有給休暇取得が義務付けられます。(皆さんの職場の有給休暇消化率は十分でしょうか?)
また、時間外労働の上限規制も見直されます。(厚労省の「長時間労働の是正」に関する資料はこちらhttps://www.mhlw.go.jp/content/000335628.pdf)
そこで、働くことと専門職の学習について考えてみました。参加することが義務付けられている院内研修は労働時間に含まれており、所定労働時間外の開催は残業代が発生します。では、義務付けていないけれど専門職として獲得してほしい知識や技術の習得は業務時間内で可能でしょうか?または残業代を払って身につけてもらうことは可能でしょうか?
他職種の労働時間内での教育を例に挙げると、新米の外科医師は熟練医師の指導の下で手術ができます。看護師は日中に研修会を行い、学習時間を確保しても病院の収益には影響しません。一方、リハ専門職においては医師のように経験豊富な職員によるOJTが常に行えれば良いのですが、指導する側も20分1単位の診療報酬制度下で働いているため、ノルマが課されていると十分に行うことが難しいかもしれません。また、看護師のように日中に行うoff-JTの学習時間の確保は、前述と同様にノルマが課される状況では困難だと思われます(病院管理者の考え方に大きく左右されますが・・・)。隙間時間で自己啓発(SD)や熟練者によるフィードバックを行ったとしても、業務時間内では限界があるでしょう。
そのように考えると、働き方改革で業務時間内に仕事を収めると同時に、業務時間外でのSDを充実させないと質を保てないのではないかと思うわけですが、SDを強制するのは根本的におかしいと感じるのです。コラムNo45「『自己犠牲の上に成り立つ医療は、もう終わりにしよう。』に強く賛同する」では働き方に対する考えや、厚生労働省の資料を基に改革の提案も頂いているので是非振り返ってご一読いただきたいと思います。
私はこれらの議論に思いをはせると、リハ専門職がプロフェッショナルとしての自覚と誇りをもって働けているか、または、それを目指しているかが重要ではないかと思うようになりました。プロフェッショナリズムの定義は様々ですが、その要素として、卓越した知識・技術をもっていることや、顧客第一主義であることに異論はないと思います。ピーター・センゲは「個人の成長という道標を踏み出すことは人それぞれの自由な選択であることを常に肝に銘じなければならない」1)と述べています。職場の中でプロ意識を育て、組織全体がプロフェッショナルを目指す文化を醸成していくことが、労働時間に振り回されずに個々人が成長するための学習意欲を掻き立てるのではないでしょうか?
1)SengePM:学習する組織,枝廣淳子,小田理一郎,中小路佳代子(訳),英治出版,2011
2019年3月2日
H.M
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