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no.59「職場にワクワクさせる「アート」はありますか?」

 非常に個人的な感想ですが、最近のマツダ自動車のデザインはカッコいいな…って思っています。

街中でもよく見るようになったので、ついよそ見をしてしまいます。現にマツダの営業利益は、2012年3月期で380憶円の赤字だったのが、2015年3月期には2000憶円の黒字となったそうです。その躍進を支えたのは「魂動」というコンセプトでした。「魂動」は、ユーザーの目に留まるデザインだけでなく、ヨーロッパ市場を視野に入れた戦略と新しいディーゼルエンジンの開発などが成功したからだと言われています。

 

 今回、経営を考える要素にアートがあることをご紹介したいと思います。

ヘンリー・ミンツバーグによれば、経営を考える要素に「アート」「サイエンス」「クラフト」があると言っています。「アート」は、組織の創造性を後押しし、社会の展望を直感し、人々をワクワクさせるようなビジョンを生み出すことです。「サイエンス」は、体系的な分析や評価を通じて「アート」が生み出したビジョンや予想に現実な裏付けを与えます。「クラフト」は、地に足の着いた経験や知識を元に「アート」が生み出したビジョンを現実化するための実行力を生み出していきます。

 

 この3者が立ち位置ですが、理想はアートが中心となり、両脇を「サイエンス」と「クラフト」が支える形が良いようです。サイエンスやクラフトが中心になると、商品力を見直さずに、数字が先行し、近年の大企業による不正や職員の過剰労働につながると言われています。

 

 大きな話になりますが、日本企業には「アート」が欠けていると言われています。戦後、日本は海外の製品の真似を高い精度で行い、急成長することができましたが、1990年以降、世界経済のトップとなってから、真似をする相手がいないため、迷走したと言われています。現在、経済のトップを退いた今でも迷走は続いており、一部の経営陣は「売り上げ日本一にする」というような「アート」からかけ離れたビジョンを掲げ経営をしているようです。

 

 今日、世界の指導者たちはアートを生み出すために「美意識」を鍛えています。今、「アート」が必要な理由として、①理論的情報スキルの限界、②自己実現欲市場の登場、③システムの変化にルールが追い付かない世界があると言われています。

 

 美意識を鍛えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。美意識より生み出す「アート」は、「サイエンス」や「クラフト」と違ってコピー出来ないということです。「アート」に共感したスタッフ達は、「サイエンス」に押しつぶされることなく一丸となって取り組めます。

 

 皆さんの職場には「アート」はありますか?

 今更ですが、私は探している途中です。

 

2018年7月4日

M.Y

 

[引用・参考図書]

山口周:「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか? ,光文社,2017

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