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no.129「ワーク・エンゲージメント ―働きがいや働きやすさには「ものは考えようだな」思考も大事かなー 」

私ごとですが、新人PTの頃から15年以上勤務した前職を退職し、今年の4月から新しい職場で働いております。知り合いに転職先のことを話すと「えっ?!なぜそんなところで?」と10人中10人に問われるような新天地で仕事をしている訳ですが、今のところとても充実した日々を送っています。

このコラムを書く機会を得て、改めて自分の「働きがい」や「働きやすさ」について考える中で、「ワーク・エンゲージメント」という概念に出会いました。

 

◾️ワーク・エンゲージメントとは

ワーク・エンゲージメント(Work-Engagement)とは、ウィルマー・B・シャウフェリにより定義された概念で、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。エンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」と定義されています。

ワーク・エンゲージメントの向上により、仕事の満足度や生産性を高め、離職率を低下させるなどの効果が期待されており、厚生労働省も働き方改革やメンタルヘルス対策の一環として重要視しています。

ワーク・エンゲージメントは上述したように「活力」「没頭」「熱意」の3つの要素が揃った状態であることを指しますが、3つの要素をそれぞれ解説すると以下のようになるそうです。

・活力:仕事から活力を得ていきいきとしている

・没頭:仕事に熱心に取り組んでいている

・熱意:仕事に誇りややりがいを感じている

 

◾️ワーク・エンゲージメントを高める要素

このワーク・エンゲージメントを高めるために必要な資源としては、「仕事の資源」と「個人の資源」があるとされます。「仕事の資源」は上司など外部から与えられる要因であり、仕事量の適切な管理、業務負担の軽減、仕事に対する意欲の向上などが当てはまります。一方、「個人の資源」は従業員自身の内的要因であり、心理的ストレスの軽減、ポジティブな意識や楽観性の向上、自己効力感や自尊心の充実などが挙げられます。ワーク・エンゲージメントを高めるためには、これらの資源をバランスよく整えることが重要であり、個人のスキルを向上させつつ、仕事の環境やサポートも適切に行なっていくことで最終的に組織に利益がもたらされることとなります。

 

冒頭でお話しした現職場ですが「通勤片道3時間弱」、「PT一人職場」、「縁(えん)はあるが、縁(ゆかり)はない新天地」など、並べてみると働きやすいとは言えない環境に見えます。ワーク・エンゲージメントを調べた中で私の心に刺さったのが「個人の資源」である楽観性とポジティブ思考です。「座席の確保された高速バスでの通勤時間を有意義に使う方法は何か?」を考えることや、「一人職場なら今までの理想や妄想を全部詰め込むくらいのつもりで作ってしまえ」などの思考へ転換をすることで、荒波で航海を諦めそうになるところに新たな海路を見出すことができたように思えます。これだけが今の仕事にやりがいを見出せている要因ではありませんが、やりがいのある仕事をするために職場から与えられるのを待つだけではなく、自らのもつ資源(個人の資源)を高めていく心持ちというのも大事なのだなと感じた今日この頃でした。

2024.8.1

Y.K

 

◾️参考・引用文献・URL

(1)   厚生労働省HPhttps://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf

(2)   島津明人:健康でいきいき働くために−ワーク・エンゲイジメントに注目した個人と組織の活性化.心身健康科学131),20-222017

(3)   Bakker Aら:ワーク・エンゲイジメントとジョブ・クラウフティング:いきいきとした労働者は働きやすい職場を自ら作り出す.産業医学ジャーナル366),52-632013

(4)   島津明人:職業ストレスとワーク・エンゲイジメント.ストレス科学研究251-62010

 

(5)   岩崎明夫:ワーク・エンゲイジメントとポジティブメンタルヘルス.産業保健21 11214-172023

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