コメディカル組織運営研究会
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この春で、医療従事者として働き始めて4年目となります。この3年で運良く学会発表をさせて頂く機会もありました。初めての学会発表でとても緊張しましたが、事故なく終えることができたことを覚えています。
ですが発表を振り返ると「あれ?全然伝わってなかった?」と強く思いました。発表内容は症例報告で、確かに自分の臨床思考能力は未熟でしたが、圧倒的に「プレゼン能力が欠けていた」ことも伝わらなかった原因だと思います。
学会発表、勉強会、またリーダーであれば組織の方針をスタッフに伝えるなど、医療従事者であってもプレゼン能力が求められることは多くあります。今回のコラムでは、学会発表をベースに求められるプレゼン能力とはどんなものなのか個人的体験を振り返りながら考えをまとめました。
学会発表では大きく分けて、「資料を作成する」段階と、「発表を行う」段階の2つがあります。
私の伝わらなかった発表の資料(スライド)を久々に見返してみると、自分が何を伝えたいのかわからず、またあまりの情報量の多さに、そっと引き出しの中に戻したくなるような出来でした。プレゼンの本をいくつか読む中で、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」(カーマイン・ガロ 日経BP社)では聞き手を導くストーリーと、伝えたい内容をシンプルにすることの重要性が述べられていました。私はこれを知って、道案内のイメージが湧きました。自分の連れていきたい場所まで、聞き手を置き去りにすることなく、脇道に大きく逸れることなく、また目的地を間違わず、案内するように資料をまとめることが、伝わるための一つのポイントなのかも知れません。
当日の発表思い出すと、手元の原稿に眼を落としたまま、多少噛みながら早口言葉を話すように進めていました。そもそも学会発表の準備において資料作成には大いに時間を割き、スライドとにらめっこをしていましたが、発表練習はもしかしたら1時間も取っていなかったのでは無いかと思います。先に挙げた書籍にも、話すスピード、抑揚、間、ボディランゲージ、姿勢などなど、きりがないほどにポイントが示されています。すべてのことに気を配れれば良いのでしょうが、せめて緊張せず、会話をするように話せるまで、何度も何度も練習することが必要なのかもしれません。
今は、プレゼンに関する書籍も多くあり、医療従事者用のプレゼンの書籍、セミナーなどもあります。またTEDと呼ばれるテクノロジー、エンターテイメント、デザインなど幅広い分野の専門家による講演会を主催しているNPOをご存知でしょうか。その講演会の様子がネットで多数無料配信されています(http://www.ted.com/translate/languages/ja)。さらに研究発表のレイアウトについてまとめたサイト(http://tsutawarudesign.web.fc2.com/)もあります。
現場では臨床能力の高さが求められることは言うまでもありませんが、少し視点を変えて、伝えるための能力などを育むことも面白いのではと個人的には思っています。
2014.4.2 R・T