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no.49 「大木になるのではなく、しなやかな竹になる」

 前回のコラムでは、「レジリエンスエンジニアリング」という医療安全に関するお話でした。(no.48「新たな医療安全の考え方:レジリエンスエンジニアリング」参照

 今回のコラムでも「レジリエンス」をとりあげたいと思います。今回の「レジリエンス」とは、ストレスを跳ね返す心の弾性力のことであり、ストレスに負けない精神的な強さのことです。

 

 みなさんは精神的な強さをイメージする時に、何をイメージしますか?

 

 「大木」をイメージした方は多いのではないでしょうか。

 私たちは、知らず知らずのうちに、こうあるべきだという思考にとらわれがちになります。それは今までの人生が詰まった信念であり理想でもあるので大切なものです。しかし、どんなに立派な木であっても、強風によって突然枝が折れることもあれば、雪の重さに耐えかねて倒れてしまうこともあります。大木のような確固とした精神が「あるべき姿」だと思うことで、事あるごとに自分の心に負荷をかけることになります。「あれもすべき」「これもやらねば」という思考によって、重圧に耐えかねて、心が折れてしまうかもしれません。そのような時は、こだわりを捨てて、必要のないものをやめてみるのはいかがでしょうか?

 

【論理的に話すのをやめてみる】

 私たちが論理性を重視するのは、それによって相手に話を理解してもらいやすくなるからです。つまり、本来の目的は相手に理解してもらうことであって、論理的に話すことではないのです。

【勝ち負けにこだわるのをやめてみる】

 競争意識が強すぎる人は、負けたと思った瞬間に驚くほど簡単に自信を失ってしまいます。勝ち負け思考が職場に持ち込まれる場合、切磋琢磨という感覚がないと、最終的には心の不調の原因になってしまいます。

 

「大木になるのではなく、しなやかな竹になる」

 

 竹は細いですが、しなやかで弾力性に富み、風や雪によって折られてしまうことはほとんどありません。この竹のような折れない心を身につけることが、レジリエンスを高めることになります。

 もしも、まわりに心が折れそうな人がいたら、当たり前をやめてみることが、本質的な問題を解決していく第一歩になるかもしれませんね。

2017年9月1日 N.T

参考文献

・見波利幸:やめる勇気.朝日新聞出版.2017年

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