コメディカル組織運営研究会
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ハフィントンポストにアップされた「自己犠牲の上に成り立つ医療は、もう終わりにしよう。」という記事について、コラムを書きたいと思う。
twitterやfacebookのタイムラインにも多数シェアされていたので、目を通した方も多いこの記事。(記事はこちら→http://www.huffingtonpost.jp/kenji-shibuya/doctor_work_life_balance_b_15857308.html)
記事の要旨は、日本の医療が自己犠牲の上に成り立ってきたことを述べ、このままでは医療の国際競争力だけではなく、システムの崩壊を招きかねないとの警鐘を鳴らす内容である。
私はこの記事を読んだ時、以前学会発表で某大学の教授に頂いた意見を思い出した。「医者が患者のために、24時間いつでも患者のことを考え、残業も厭わない姿勢でいるのに、コメディカルがワークライフバランスを守るべきという考えはナンセンスだ。」と。
私はこの考え方に反対の立場を取る。医療・介護を志すものは人道主義(人間愛の立場から人々の福祉を図ろうとする思想態度。 博愛・平等、人権の尊重、平和・無抵抗主義などを特徴とする。)を持つ傾向が多い。しかしこの人道主義が行き過ぎた結果、一部の病院や介護施設には「ブラック企業」が横行しているとも感じる。
記事の中で著者である渋谷健司は、厚生労働省の資料(新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン)を引用する形で、改革のポイントを以下4つ挙げている。
1:医療従事者に、柔軟な働き方を。
自らの目標や状況、スキルセットに合わせて、都度、柔軟にキャリアを選べるようにする。
2:地域主体で、医療リソースを最適化。
地域が、国からのトップダウンではなく、自分たちで限られた医療リソースの決めるような権限と仕組み。
3:テクノロジーの最大活用。
新しいテクノロジーを積極的に使うことで、本当に「なすべき」仕事に集中できるようにする。
4:タスクシフト・タスクシェアの推進。
時代の変化に応じ、既存の職種の枠組みを超えて、仕事の領域を広げられるようにする。
※以上、記事より引用
私はこの改革ポイントは不十分であると考える。
私が考える現在の医療・介護の問題点は、「アウトカムを出さないこと」つまり「実施したことの効果判定を行わないこと」が原因と考える(もちろん十分にアウトカムを追う組織があることは十分に承知している)。例えば「カンファレンス」、現場では患者に何か問題があれば、「カンファレンス」を開くことを解決策として挙げる。しかし「カンファレンス」で話された内容は、効果があったことなのか?検証されることは少ない。
つまり投資したリソースに対して、どれだけのリターンが得られたのかを考え、効果の無い投資であれば中止することが必要である。現在の医療・介護現場はどんどん投資するが、効果をはっきりと鑑みないために、現場のキャパシティがオーバーしているように思える。
ドラッガーは、「測定出来ないものは、管理できない」というが、管理業務を行う上で「与えるタスクは測定可能なものか」、「効果がでないものであればいつ中止するか」を考えて、指示を出すことが管理者の責務であると私は考える。
R.T
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