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コメディカル組織運営研究会

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no.31「職場運営のポイント ~職場の研修から感じたこと~」

 先日、職場で『授業に活かすコーチングスキル』という教員研修を受けた。コーチングスキルについては本コラム№19の『コーチングスキルと組織運営』を参照されたい。

 さて、その研修であるが、コーチングの概要に始まり、ティーチングとコーチングの違いや授業におけるコーチングの実践で考慮する点、ファシリテーションやグループコーチングなどについて説明があり、基本スキルの修得ということで演習も行った。

 そのグループコーチング実習において、講師の先生が作成してくださった質問を使って少人数のグループで実際にやってみる過程で「ハッ」とさせられた。少し長くなるが、以下に質問を記す。

 

 質問1 どうして先生になろうと思ったのですか?

 質問2 どういった先生になりたいですか?(理想の先生像)

 質問3 現状は学生に対してどういった指導法を行っていますか?

 質問4 理想の先生像に対して、現在何点がつけられますか?その心は?

 質問5 あなたの先生としての強みはどんなところですか?

 質問6 学生はどんな先生を望んでいると思いますか?

 質問7 また、学生はどんな授業を期待していると思いますか?

 質問8 理想の先生に近づくためには、今後、どんなことを身につけていくことが必要ですか?

 質問9 今後、学生のためにどんな授業をしていきますか?

 質問10 具体的な取り組みをお聞かせください。

 質問11 ここまで話してみて、きづいたことをお聞かせください。

 

 もちろん、全部の質問について実習はできなかったが、いくつかでも十分「ハッ」とさせられたのである。

 「ハッ」とさせられた点は2つ。まず、一つは自分がどうなりたいか、自分のキャリアについて最近考えていなかった点、そして、思った以上に学生のことを知らなかった?知ろうとしていなかった?点である。実際、「ハッ」とどころではなく、呆然としていたのである。

 では、みなさん、上記の質問の先生を「理学療法士」あるいは「上司」、学生を「対象者」あるいは「スタッフ」に置き換えて、スラスラッと答えられますか?あるいは、説明できますか?

 

 一つ目の自分のキャリアについて最近考えていなかった点については深く反省した。もちろん、キャリアは節目であったり、何かきっかけがあって考えるものであって、そうそういつも考えるものでもない。しかし、自分自身のキャリアについてはもちろん、学校であれば学生のキャリア、職場であればスタッフのキャリアなど、「どうなりたいか」という将来像は教育や指導のうえで重要であることは言うまでもない。言うまでもないのに、いつの間にか日々の仕事に追われ、慣れてしまっていたと、ふかーく反省したのである。

 つまり、組織運営をするにあたって、まず、スタッフにする質問は自分だったらどうかを考えておくことが大切ではないだろうか。最近の学生さんの傾向として漠然とした質問が苦手だと感じている。話の流れで「どう?」と聞いても、その「どう?」がわからないので答えられないのである。話の流れで聞いているのに、何について聞かれているのかをはっきり言わないと答えられない…ということは、質問する側も「こういうことだよ」という答えをもっていないと永遠に話はかみ合わないのである。

 

 次に、思った以上に学生のことを知らなかった?知ろうとしていなかった?点である。講義の中で「ティーチングは『ない』が前提、コーチングは『ある』が前提」と教えていただいた。それを聞いたうえでの上記の質問は学生がどうなりたいと望んでいるか、どんな授業をしてほしいと思っているか、など知らなさすぎた…ということである。もちろん、授業評価はある。しかし、それからは学生がどんな授業をしてほしいと思っているかはわからない。わからなくとも指導はできるかもしれないが、わかっていればもっと発展的な指導ができることは間違いない。臨床で対象者のHopeやDemandを知り、セラピストと共有できていればよりよいセラピーが行えることに異論はないだろう。

 したがって、学生を知った気にならず、わかった気にならず、一度きちんと聞いてみることが必要であると、改めて理解したのである。学生は本を読んだり、講義を受けて、感想文やコメント用紙に「こんな理学療法士になりたい」と書いてくる。それに近づくためには、どんな質問をすれば自分がすることに気づきやすいか、どんな指導が必要かを考えることが教員としての重要なポイントなのだろうと感じた。職場の上司も同じではないだろうか?

 

 職場研修から感じたことをつらつらと書いたが、大事なのはこれを実践することなので、実践してみてまた思うところあればコラムに書かせていただければと思う。

 

2016年2月1日

Y.I

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