コメディカル組織運営研究会
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管理運営について、学生時代より大変お世話になっている先生にご相談した際、「パフォーマンス・フィードバックについて学んでみたら?」とご助言をいただきましたので、今回のコラムのテーマと致しました。
パフォーマンス・フィードバックとは、「これから行う行動を導くための、これまで行ったその行動についての評価や記録(杉山ら、1998)」、「パフォーマンスを変化させることが可能な、過去のパフォーマンスについての情報(Daniels,1989)」と言われております。
つまり、「行動を導くことが出来る」、「パフォーマンスを変化させることが可能」という機能を有する、あるいはそのような効果が認められた場合にのみフィードバックであると言うことが出来ます。
なぜこの機能・効果にこだわるのかというと、パフォーマンス・フィードバックと単なる情報・データのフィードバックとの区別が必ずしも明確に行われていないからです。単なる情報・データをフィードバックしただけでは効果がない(Balcazar,Hopkins,& Suarez(1985))、そのことがフィードバックプログラムを失敗に終わらせている原因の1つになっている(Daniels,1989)と言われております。よって、効果を出すフィードバックの機能を知ることが必要です。
効果的なフィードバック機能として、①弁別刺激、②習得性好子※の2種類があります(Balcazar,Hopkins,& Suarez(1985))。 ※好子:心理学において行動を強化する刺激のこと。
弁別刺激とは、「その刺激がある時には特定の行動が強化もしくは弱化され、その刺激がない時にはその行動が強化も弱化もされない刺激」(杉山ら、1998)のことを言います。習得性好子とは、「他の刺激と対提示されることで、好子としての機能を持った刺激、出来事、条件」(杉山ら、1998)のことを言います。以上より、効果を認めるフィードバックとするためには、好子が対提示されることが必要です。
リハビリテーション分野において、大腿切断者の身体活動量の増加を目的とした介入(大森ら、2005)や、脳血管障害患者の歩行速度増加を目的とした介入(Dobkinら、2010)にパフォーマンス・フィードバックを用いた効果について報告されております。
治療効果を患者さんへフィードバックする際、「○○がどのくらい出来ましたね」と好子を用いてフィードバックしているかと思いますが、後輩スタッフや学生の態度、行動に対して「○○が出来ていない」とフィードバックしていませんか?
フィードバックを、「ここまで出来たね、次は(具体的に)こうするといいね」と変えるだけで、効果を認めるフィードバックになるかと思いますがいかがでしょうか。
2015年11月6日 N.K
参考文献:
・山﨑裕司,山本淳一:リハビリテーションを最大限に引き出すコツ.三輪書店,2008
・島宗理:問題解決のための行動分析学.米田出版,2000
・大森圭貢,鈴木誠:大腿切断者の身体活動量における目標提示の効果.行動分析学会第23回年次大会発表論文集,2005:61.
・ Dobkin BH, Plummer - D’Amato P, Elashoff R, et al.: International randomized clinical trial, stroke inpatient rehabiritetion with reinforce of waking speed (SIRROWS), improves outcomes. Newrorehabiril Neural Repair, 2010,24(3):235-242伊藤守著.コーチングマネジメント.discover21.2005年
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